秘境大杉谷の絶景スポットへ。前泊で楽しむゆとりの登山

日本三大峡谷のひとつに数えられる大杉谷には、7つの滝と11の吊り橋を楽しむことができる登山道があり、毎年多くの登山客が訪れます。そして奥伊勢フォレストピアがある三重県大台町は、大杉谷への入り口の町。今回は奥伊勢フォレストピアからの大杉谷へのアクセスとともに、訪れる人を魅了する絶景スポットをご紹介します。

 

関西の屋久島とも呼ばれる、水と緑が美しい峡谷

大杉谷は、富山の黒部峡谷、新潟の清津峡とともに日本三大峡谷に数えられる秘境の山地です。国からは吉野熊野国立公園に指定されており、大杉谷を含む一帯がユネスコエコパーク(豊かな自然・生態系を保護しながら、人々の生活や経済活動を両立させる地域)に認定されています。

大杉谷の魅力は何といっても美しい水の景色です。この地は屋久島と比肩される多雨地帯。伊勢まで続く清流宮川の最上流部であり、長年の雨に削られたV字峡谷を流れる水が、7つの滝を作りだしています。

水の透明度はもちろん、川の深さや地形によって宝石のようなアクアブルーやエメラルドグリーンの色や輝きの変化を見せてくれるのも魅力。中級登山道のためきちんと装備を整えて臨まなければ危険な山ではあるのですが、この景色の美しさが登山の疲れを吹き飛ばしてくれます。

 

大杉谷の絶景スポットその1 シシ淵

大杉谷シシ淵

大杉谷を代表するスポットが「シシ淵」です。そびえ立つ岩の奥に見える滝と、深くえぐれた谷間に流れる水面が神秘的なまさに絶景。アップダウンの多い鎖場を超えてたどり着いたときの感動はひとしおです。

遠目から全体を眺めても素敵ですが、時間が許せば谷間に降りて大きな岩を歩き、滝の方へ近づいてみましょう。フォトジェニックな景色に目を奪われ、雄大な自然と一体になる心地が味わえます。

大杉谷の絶景スポットその2 堂倉滝

大杉谷堂倉滝

7つの滝のうち、大杉谷登山口からの登りルートの最奥にあるのが「堂倉滝」です。2本の吊り橋を渡り滝壺まで近づいてゆく圧巻のスケール感。シシ淵の神秘的な美しさに対し、皇帝のような堂々たる迫力が堂倉滝の魅力です。光により変化する水面の美しさは見飽きることがありません。

大杉谷堂倉滝

 

大杉谷の絶景スポットその3 崩壊地と光滝

堂倉滝の手前にも絶景スポットがあります。そのひとつが、2004年の豪雨災害で巨大な岩が積み重なりつくられた「崩壊地」。山の中に突然現れち砦のようなスポットです。大杉谷では「嵓(くら)」と呼ばれる巨大な岩壁も見所のひとつなのですが、「崩壊地」も岩が創り出したワイルドな景観が魅力の場所です。

また「崩壊地」を超えて現れるのが「光滝」です。滝の水飛沫で光が乱反射するまさに「光りの滝」。難所の一つであり写真は撮りにくいため目に焼き付けていただきたい景色の一つです。

大杉谷 光滝

 

 

ヒノキ風呂がある山小屋へ

大杉谷 桃の木山の家

登山の楽しみのひとつが山小屋泊。大杉谷には桃の木山の家と粟谷小屋の2つの山小屋があり、どちらもお風呂を備えています。山小屋といえばお風呂がないのが常識ですが、水が豊かな峡谷地にあるメリットを活かし、桃の木山の家はヒノキ風呂、粟谷小屋は高野槙(こうやまき)のお風呂を楽しめます。

また桃の木山の家は峡谷沿いの立地のため、吊り橋を渡った先に山小屋があるというロケーションもフォトジェニック。早めに山小屋に着いたら、川辺に降りて吊り橋を見上げてみてはいかがでしょうか。夜景や峡谷を見下ろす食堂からの景色も絶景です。

大杉谷 桃の木山の家

 

大杉谷の登山プランとアクセス

大杉谷登山マップ

大杉谷登山道は、大台町側にある大杉谷登山口から大台ヶ原へと抜けるワンルート。全長約16km、高低差1,415mの登山道で、歩行時間は10時間強(上り登山の場合)が目安です。

※登山MAPの画像をクリックいただくとPDFが新しいウインドで表示されます

大台ヶ原から下り登山もできますが、下りは足への負担が大きいため、大台町側からの上り登山がおすすめです。また滝や吊り橋が続く峡谷エリアは大台町側。堂倉滝を超えると一気に標高が高くなり、多種多様な樹々の中を歩く山道へと変わります。

峡谷美を楽しみたいのであれば、シシ淵またはそれより手前の千尋滝までなら日帰り登山が可能です。ただし早めの出発が必要なので、奥伊勢フォレストピアに前泊し、登山口まで自家用車でアクセスいただくとよいでしょう。なお登山口の駐車場は数が限られているため、休日は満車になる場合がありますので、ご注意ください。

絶景スポットの全てを網羅したいのであれば、山小屋泊がおすすめです。奥伊勢フォレストピア10:45発(要予約)の登山バスに乗れば、12:00に登山口へ到着。シシ淵に15:00着、桃の木山の家に16:30着を目安に登山を楽しめます。翌日は大台ヶ原に向けてさらに上りを続けてもよいですし、折り返し下山するのも方法。シシ淵をもう一度見たい方はこちらがおすすめです。

また体力に自信がある方は、桃の木山の家に一泊した翌日に、荷物を山小屋に置いて上流の絶景スポットへと足を伸ばすのも良いでしょう。頑張れば堂倉滝までの往復も可能ですが、それなりにハードなルートですので覚悟は必要。時間に余裕のある方は、桃の木山の家に二泊することも検討してみてください。思う存分、絶景を眺める時間を取ることができますよ。

なお下山後の登山バスの出発時間は12:10登山口発。こちらに乗れば13:25に奥伊勢フォレストピアに到着することができます。フォレストピアの温泉でゆっくり汗を流したあと、自家用車または公共交通機関を利用してご帰宅ください。

大杉峡谷登山バス(運営:エス・パール交通)の詳細・ご予約はこちら

 

大杉谷登山の参考情報

大杉谷登山の最新情報は、大杉谷登山センターのサイトをご確認ください。本記事で紹介した、日帰りや一泊ルートの紹介も掲載されています。

さらに詳しい情報をという方は「秘境・大杉谷ガイドブック Cedar」をご覧いただくのがおすすめです。

大台町のアウトドア旅行会社ベルデ大台ツーリズムでは、登山レベルに合わせた大杉谷ツアーを開催しています。プライベート登山にも対応していますので、登山ガイドをお探しの方はご相談ください。

大杉谷登山センター

秘境・大杉谷ガイドブック Cedar

ベルデ大台ツーリズム

大杉谷は奥伊勢が誇る秘境であり、大台町を流れる清流宮川の最上流域として、「森にとまる 水とあそぶ」をうたう奥伊勢フォレストピアにとっても大切な場所。私たちスタッフにも登山経験者が多いのですが、ぜひ足を運んでいただきたい、最も美しい場所の一つです。

とはいえ自然は人への厳しさも併せ持ちます。訪れる際には十分に装備を整え、無理のない登山計画を立てたうえ登山届を提出してからの登山をお願いします。奥伊勢フォレストピアへの宿泊が、素晴らしい秘境との出会いにつながれば嬉しく思います。

【写真提供】大台町観光協会、ベルデ大台ツーリズム